兼定将司のブログ
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フリーナレーター
某ローカル局を見ていたらこれまたローカルなCMが流れていて、「製品」のアクセントを頭高で読んでいました。
いくらなんでも、流石にローカルでも、なんでこんなものがテレビCMとしてまかり通るのかと思っていたら、違う局(こっちもローカルですけど)のニュースでキャスターが「コマを進めました」の「コマ」を尾高で読んでいて…。
日本語のアクセントに正解はありません。
アクセント辞典に載っているものが正解だと勘違いしてらっしゃる方にたまにお会いしますが、アクセント辞典なんて色んな会社から出版されていますし、内容に随分バラつきがあります。
市民権を得ているものが掲載されている、即ち多数決であるという意見もありますが、あれだけ市民権を得ている平板の「映画」や「熱い」、頭高の「支援」「解決」「背景」「二月」「四月」などはいまだにNHKにも三省堂にも載っていません。
ただね、最低限のルールは必要でしょう。
一般人ならまだしも、一応言葉を使う職業をやっている身としては、とりあえずアクセント辞典に載っているアクセントで喋らないと。
大昔に客演した小劇団の代表がやたらと「殺陣」を尾高で発音するので注意したところ、「他の劇団もそう言ってる」と反論された時には困りました。
「他の劇団ってどこだ?文学座や俳優座や民藝がそう言ってるのか?」って言ってやろうかと思ったけど、無駄だろうからやめました(苦笑)。
私の師匠がアクセントに厳しい方だったこともあり、学生時代からアクセントには人一倍神経質でしたし、自分の生徒にも口うるさく言っている人間です(その癖仕事上ではちょくちょく間違えますが 汗)。
ただね、もうここまでオンエア媒体などでもアクセントの崩壊が顕著になってくると、何が正で何が誤なのかもわけがわからなくなりますよね。
以前現場で、上述した「支援」という言葉が出てきた際、アクセント辞典通りの平板で発音したところ、
仲介「頭高でしょう」
私「アクセント辞典には平板しか載ってないです」
ディレクター「…どうしましょう(困)?」
というめんどいことになり、若干ディスカッションした結果、「平板だと違う言葉(紫煙、私怨など)に聞こえる可能性もあるから、ここは頭高でいきましょう」という意見で満場一致したこともあります。
これに関しては私も納得しました(てか私がその意見を出しました 笑)。
…なんか長くなりましたけど、結論として、アクセント辞典なんてものは、現代の音声製作においてはあるようでないようなものなのかなと思う次第であります。
アクセント辞典には載っていないアクセントをお願いされたことなんて腐るほどありますし。
大阪のスクール時代、関西でMCをしている講師の方から「アクセント辞典は引くものじゃない、読むものだ!」と教えられ、実際にクソ真面目にそれを実践し、名詞が活用形になった際のアクセントまで覚えましたけど、10年前の話ですからね。
良くも悪くも、時代というものが随分変わってきているような気がしますね…(遠い目)。
兼定将司
アクセントの崩壊
2018年7月12日木曜日
{写真の説明}
愛用のトートバッグ。私が住んでいる藤沢市のキャラクター・ふじきゅんと、大阪のスカムサイケデリアの雄・チコピドー氏のバッジが付いています。え~…記事の内容とは全く関係ございません(笑)。